短編映画祭、SHORT SHORTS FILM FESTIVAL & ASIA 2011。
タモリ倶楽部のオープニングとは関係ありません。
その試写会に応募してみたら当たりました!
6月17日午前中から映画祭本体開始なのでありますが、
観覧者募集のメルマガ配信が11日
応募締切が13日正午(実際メルマガ読んだのが11時15分ごろ)
当選通知が15日未明
同伴者1名可の通知が15日夕方(気付かなかった)
試写会が16日夕方、つまり本番前夜
という、どうかしてる日程運びになっております。
試写会って一応テストとか話題造りなんだから1か月前とかさ、
それの開催予告なんかさらに1か月前とかにやるモンじゃね?
ウチの中学の同窓会でさえ
半年前とか1年前に日程決めてたりしますよ。
ともかく千代田線でまっすぐ表参道へ。
登場人物の多すぎる推理小説読んでたら電車に酔ってきましたが。
今日の映画の方も、切れ味鋭いカタルシス(解決感)を期待していますよ。
映画祭会場は横浜の短編映画館のほか、こちら表参道ヒルズという
デパートの地下3階イベントスペースで催されます。
高級感や交通の便は申し分ない立地でありますが、
原宿界隈なんて大学時代世田谷から駒場(渋谷の近く)に通ってた頃でさえ
ほぼ完全にアウェーな人間ですので、
「みんなが僕を笑ってる気」すらしてきそうです。
トイレにも行きたいし、早く建物内に入ろう。
四角い螺旋の塔のような館内は一見斬新なようですが、
必要以上に多数の店舗の前を歩かされる策略設計になっています。
ほとんどブランド物ファッションのお店であり、
肝心のトイレは見当たりません。
良く探せばどこかにあるのかも知れませんが、
こんなヒッチコックの「めまい」よろしく螺旋をグルグル回らされてる間に
タイムリミットが来かねません。
再び全身虹色みたいな服の人々や外国人の間を縫って駅方向に戻ることで、
とてもそれとは判らなかった公衆トイレがあったのに気付きます。
ここです。
例年の映画祭で来た事もあるのですが、ざっと20人ほども居そうなスタッフが
能登和倉温泉の加賀屋なみにズラリと挨拶するので驚きました。
当選者は100人、(知らなかったけど)同伴者入れてももう100人が
2~3時間ばかりほとんどジッと座っているだけの試写会で、
なぜこんなにスタッフが必要なのか不思議です。
まさか爆破予告でも届いてるんじゃあるまいな。
メールで届いた試写会招待券を見せますと、
分厚い映画祭パンフやアンケート用紙等がもらえます。
必ず招待券をプリントアウトして名前や住所を記入しとくべし、
とのお話だったのですが、
ウチにはプリンタがないのでネカフェ行ったり面倒でしたよ、実行委員会様。
目立つ真っ赤な紙袋は、個人的には嫌いじゃありません。私個人的には。
こちらがパンフ、というかカタログサイズ。デザインには毎度凝っています。
さらに前後半が上下リバーシブル(後半は上下1回転させて読む)という、
大変個性的かつ印刷所泣かせな仕様でありまして。
どのプログラム観に行くか事前に決めるのに便利。
買うと結構高いです(1000円ぐらいだったかな?)。
好きな監督にサインもらう用の英文アピール付き白紙ページとか、
アイディアは大したものです。
短編映画自体が、低予算の代わりにアイディア勝負な世界ですからね。
映画とあまり関係なさそうな震災チャリティーオークションにも触れられてます。
だって安斎肇ですよ。だからタモリ倶楽部じゃないんだってば。
そもそも安斎肇の絵が震災チャリティーに相応しいかという問題がですね…。
映画とは言ってもパイプイス並べて大会議室でプレゼン、的な感じになります。
試写会にお呼ばれした以上本編にも触れておかないといけません。
ちなみに幕間にはtwitterや何かでつぶやこうタイムが用意されていますが、
招待者しか入れない試写会でそこまでのリアルタイム性があってもねぇ。
そんなわけで以下ネタバレ。
●皆既日食の午後に(日本) ミュージックショート部門
皆既日食の日、ケガで外に出られない鍵っ子少年がつまらなそうにしていて、
なんと隣家に侵入する男を発見します。
少年はあろうことかそこに電話を掛ける。
男はなぜか古いアルバムを物色し、「父親には怒られた記憶しかない」などと言っている…。
ところが、それはどうも(次の日食の時の?)彼の将来の姿らしいのです。
最後は宅急便屋が、少年に父からの誕生日プレゼントを届けます。
いつのまにか男もそれを見ている、いや思い出している。
【評価:★★☆☆☆】
Superfly「Ah」という曲をモチーフにしているらしいのですが、
私はその元ネタを知らないので良く判りません。
ベタな家族愛ものをベースに何かどんでん返しを入れようとして、
何もかも中途半端に終わってしまった感じかなぁ。
●スーパースター(日韓合作) 旅シヨーット!部門
韓流スターを追っかけてソウルまで来たおばさん(にしては若いけど)。
プレゼント(白マフラー!)と片言の韓国語求愛フレーズ数個を持参して
(韓国語自体はできない)ファンイベントに乗り込むつもりですが
当日寝坊し、慌ててタクシーを捕まえようとします。
ところがそのタクシー、おばさんを乗せたがらない上に運転も固く、
道もそれほど詳しくない(おばさんだって地図も何も読めない)。
結局イベントには間に合わず、それでもムリヤリ運転手を引き回し
街中を探し回りまして、2人に絆のようなものさえ芽生えた頃、
ついにバーかどこかでインタビュー中のスターを見付けます。
で、そのスターはさすがに日本人追っかけ対策万全の模様で、
プレゼントを受け取ると「アリガトゴザイマス」とハグしてくれます。
それは流暢だが機械的、全くうれしくはありません。
おばさんもようやく目が覚めます。
自分が準備して来た片言フレーズ、立場が逆ならこの程度なのだから。
トボトボとホテルに帰ろうとすると、おばさんと一緒に1日奔走させられた
タクシーの運転手が追って来ます。
料金を払って無かったなと思い、お金を渡そうとしますが受け取りません。
良く見ると助手席にブレーキがある。教習車(かその払い下げ)か何かです。
これはタクシーではない!運転手は全く善意で行動を共にしていたのです。
【評価:★★★★★】
とことどころの微妙なユーモアも良いし、伏線の切れ味もお見事。
演技も頑張っています。
この「旅」部門は観光庁が後援しているもので(映画祭本番でも無料)、
ダメな監督だと強引な名所映像の羅列にしかならないのですが、
本作は見事な料理の仕方と言えます。
●恋の延長戦(イタリア) フットボール部門
男の子が女の子を好きで、
女の子はそれを聞いて男の子のサッカーを観に来ます。
ところが他の男の子にそこをからかわれて、怒って帰ってしまいます。
男の子は女の子の家に行って、自分でボールを顔に当てて見せます。
笑う女の子。それだけです。
【評価:★★★☆☆】
短編の中でも特に短い方で、CM程度のストーリーしかないんですが、
微妙にほのぼのできる1本。
●お父さんの手(台湾) 高雄映画祭部門
ケガで病院に運び込まれる父親。
昔から左手人差し指の先がありませんが、息子は理由を知らない。
父がこれまでにしてきた仕事のどれかが原因だったか、
そういえば父の手を握った事がない、父が死ぬ前にそうすべきか…
と考えているうちに、いつしか病室で寝てしまいます。
しかし意識のない父の方から、息子の手を握るのでした(右手だけど)。
【評価:★★★★☆】
指の欠けた理由は結局明かされません。客の注意をそちらに向けておき
前半はコメディ的・後半はしんみり、その落差で攻める感じでしょうか。
雑然とした露店とか麻雀とか、台湾(中国)らしさも見所かも。
●笹舟(日本) ※選外?
江戸時代、京都。帯屋で嘱望されている奉公人の娘は、
武家の息子(いまいち頼りなげ)に恋文らしきものを渡そうとしますが
きっかけが掴めず、それを笹船に載せて川に捨てます。
ところが武家の息子がそれを拾い、なんと娘と駆け落ち。
そして現代の京都で、2人の生まれ変わりらしき人がすれ違い、
言葉を交わす事もなく終わってしまいます。
【評価:★☆☆☆☆】
ストーリーは御都合主義的、演出はどうも盛り上げどころを誤っており、
とどめに最後のシーンは蛇足もいいところ。監督ちと自己満足くさいかも。
ただ、予算の少ない短編にしては時代劇らしさの良く出た映像ではあります。
●少年の箱(ドイツ) CG部門
【評価:★★☆☆☆】
ストーリーは有って無いようなモンです。
というか、ムリして追おうとするとサイコの世界に放り込まれそうになります。
ひたすらCG映像の精緻さだけを楽しむべき作品。
1933年のロシアアニメ「禿山の一夜」みたいに、
まるっきりセリフ外して音楽流し続けたほうが良かったでしょうね。
●スティーブ(イギリス) 国際部門
うまく行ってなさそうな夫婦のところに階下の住人がやってきて、
難癖つけては紅茶を要求したり奥さんをデートに誘ったりだのします。
それだけ。たぶん。
【評価:★☆☆☆☆】
私にはサッパリ。ただただ不快感だけが残ります。
……ハイ、短くまとめるつもりが延々延びてしまい申し訳ないです。
数千本も寄せられたらしい候補作から上映作を選抜したと言う、
その苦労が偲ばれてなりません。
最後に映画祭本体の1プログラム(5作品程度)無料券ももらえたので、
もう1日ぐらい出向いてみようかな。
これも普通に買うと千何百円かしますが、無料上映作品も幾つかあるので
初めての方はその辺りからお気軽にお試しで。
前述通り当たり外れは結構ありますが、ハリウッド物に飽きた人にはオススメ。
相変わらず、この街は表現者の街であり続けます。
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